真昆布
最も代表的な種類の1つであり、肉厚があり幅も広く最高級品です。上品な甘味をもち、清澄なだしがとれます。生息地は、道南の渡島(おしま)支庁白神(しらかみ)岬から函館市、恵山(えさん)を経て噴火湾にいたる地域。恵山岬を境界とし、南茅部(みなみかやべ)から砂原(さわら)に至る沿岸は白口浜とよばれ、恵山岬から汐首(しおくび)に至る沿岸が黒口浜と呼ばれ、汐首から函館市に至る地域が本場折浜と呼ばれます。本州は青森県下北半島・岩手県・宮城県の沿岸。成育する水深は7~8m。形状特徴は、葉色は淡褐色、葉の長さ1~8m、幅は12~30cmと広くなり、下部で幅広いくさび形になって茎につながります。切り口の色で、白口元揃(白色)と黒口元揃(黄色)に区分します。 加工方法は、高級だし用として利用され、おぼろ、とろろ、などの加工品に適しています。
利尻昆布
甘みもあり、真昆布に比べ、塩味があり硬い感じがします。味が濃く香りも高い透明な澄んだ出しがとれます。生息地は、利尻・礼文両島と留萌(るもい)以北、稚内の野寒布(のしゃっぷ)岬、宗谷(そうや)岬を経てオホーツク海沿岸網走に至る地域。 形状特徴は、真昆布より幅が狭く、葉の基部は細いくさび形。色は黒褐色、葉は固くなっています。 加工方法は、主に出し昆布として利用されており、特に京都の懐石料理には好んで使用されています。他にも、肉質が硬く削っても変色変質しないため、おぼろ、とろろとしても最適です。
羅臼昆布
正式名は「りしりけいえながおにこんぶ」といいます。だしがにごるという特徴がありますが、香りがよくやわらかく黄色味を帯びた濃厚でこくのあるだしがとれます。生息地は、知床(しれとこ)半島の根室側(国後島側)沿岸のみに生息。 形状特徴は、葉巾が広く幅20~30㎝、葉の長さは1.5~3mとなりますが、さらに大きくなることもあります。表皮の色により黒口(黒色)赤口(赤褐色)に区別します。(黒口は半島尖端寄り、赤口は半島南端寄りに比較的多くなっています。) 加工方法は、主にだし用として利用されます。
日高昆布
三石昆布とも呼ばれます。柔らかく煮えやすいのが特徴です。生息地は、三石(みついし)町のある日高地方を主産地とし、東の十勝沿岸から白糠(しらぬか)に至る地域、一部道南白口浜から恵山(えさん)岬を経て汐首(しおくび)付近まで。成育する水深は10~15m。 形状特徴は、長さ2~7m、幅6~15cmと狭く、へりは波うちがありません。濃い緑に黒味を帯びています。 加工方法は、煮えやすく、味も良いのでいろいろな惣菜に利用されます。
長昆布
細長い昆布で最も生産量が多く、大衆的な加工材料です。生息地は、釧路知人(しりと)岬以東、根室納沙布(のさっぷ)岬までの太平洋沿岸。歯舞(はばまい)諸島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の太平洋側にも生息。成育する水深は15~20m。形状特徴は、葉は幅6~18cm、長さは最大15m以上、20mに達するものもあり、色は灰色を帯びた黒色で加工用として利用されます。
細目昆布
1年生昆布で切り口が白く、細目の葉形で粘りが強いのが特徴。普通満1年目の終わりごろ、流失するので、1年目の夏に採取します。生息地は、道南の福島町から檜山(ひやま)・後志(しりべし)を経て留萌(るもい)支庁苫前(とままえ)、羽幌(はぼろ)、天売(てうり)・焼尻(やくしり)両島までの地域に結束。 形状特徴は、葉の長さは0.4m~1.5m程度、葉幅は5~15cm。色は黒色。切り口は全昆布のうち最も白い色をしています。 加工方法は、出し用としてはあまり適さず、粘りがあるため、とろろ・おぼろ用として利用される。
厚葉昆布
がっがら昆布とも呼ばれます。長昆布は波の荒い場所を好むが、圧葉昆布は島や暗礁の陰、海底の凹地等波の直接当たらない深みが生育場所です。 形状特徴は、葉の長さは2m~5m程度。黒色で白粉を生ずるものが多い。葉巾がひろく肉厚。中帯部は明瞭でなく両縁部は厚く狭い。加工方法は、佃煮布、塩吹き昆布、おぼろ、ばってらなどの加工用として利用されています。
がごめ昆布
表面にかごの目に似た凹凸があります。粘りが強いのが特徴。生息地は、函館、室蘭の沿岸。真昆布とほぼ同じ地域に生息しています。 加工方法は、とろろ・おぼろ、納豆昆布、松前漬などの原料に利用されます。
ねこあし昆布
耳昆布とも呼ばれます。甘み成分が多く、ねばりが強い。生息地は、分布域は長昆布、厚葉昆布とほぼ同じ。 加工方法は、とろろ・おぼろ用に多く利用されます。