冷凍かつおを解凍|かつお節の製造方法
かつお節を製造するに必要な原料であるかつおは、遠洋で獲れたものを船内で凍結したもので解凍して使用する事が多いです。一部の高級かつお節では、一本釣りした近海かつおを使用する事もあります。刺身などの生食用のかつおはマイナス40度の超冷凍で凍結されますが、かつお節のかつおは、マイナス20度程度で冷凍されたものが一般的です。かつお節に適した大きさは、1尾の重さが2.5kg~4.5kgものが多いです。解凍は、非常に簡単で水槽の中に冷凍のかつおを入れ空気を送り込み、水槽の中で水を循環させていきます。この方法で冷凍かつおは、短時間で溶かすことができます。解凍する際にかつおから血液も溶け出し水槽が赤くなることから何度か水を入れ替えて解凍していきます。かつおの鮮度は、解凍後そのまま放置する事で品質の劣化を起こします。品質が低下したかつおは、カッターでかつおの頭を切るため、定めた所にカッター刃が納まらなずに、斜めに切る場面が発生したり、鮮度の落ちたかつおでかつお節を作りますと、製品になった際に「隙(スキ)」と呼ばれる隙間が生じかつお節としては不良品になります。
生切り(かつおの頭と内臓を取る)|かつお節の製造方法
次にかつお節を作る工程としては、生切りといわれるかつおを3枚に下す作業があります。かつお節にするのは、骨などを取り除いた身の部分だけです。頭・内臓・骨を取り除きます。かつおは、昔は手作業で下していましたが、最近では機械でかつおの頭や内臓を取り除いております。昔、かつお節は「引出物」などをはじめとしする、縁起物や贈り物での使用の為に形を重視いたしましたが、現在では「削りパック」や業務用加工向けとしての用途が増えてきた為、形はあまり気にしなくなりました。勿論、現在でも職人が手で切る会社もあります。
煮蒸(生切りしたかつおを加熱)|かつお節の製造方法
生切りされたらかつおの切り身は、次に煮蒸(しゃじく)という工程を行います。かつおの身は、半身に成った時、上側の背中側を雄節(男節)、下側の腹側を雌節(女節)と言います。 半身になった身を身崩しないように両手で持って煮籠に並べていきます。煮籠にかつおを並べたら煮蒸していきます。煮蒸とは、魚を煮るものだと考えてください。ゆっくり煮籠に入れ98度くらいまでにゆっくりと時間をかけながら上げていきます。煮蒸の時間は、60分~90分ですが、かつおの大きさによって時間を調節します。鮮度が良いかつおは、低い温度からはじめていき、逆にかつおの鮮度が悪い場合は高い温度からはじめていきます。 鮮度が良い物を高い温度から入れると身が締まりすぎてしまい、逆に鮮度が悪い物を低い温度から入れていきますと、かつおが伸びてしまいます。
骨抜き(煮蒸したかつおの骨を抜く)|かつお節の製造方法
かつおを煮蒸したら次の製造工程として、細かい骨を取り除く骨抜きがあります。かつお節を作る際に骨は水中で抜いていきます。さらに、「焙乾(ばいかん)」という燻製にしていく製造工程があるのですが、そこで身が縮んでいく時に、骨だけ残って身が割れないようにする為です。また、かつおの身は煮た後なので、非常にもろく大変崩れやすいです。そのため、水の浮力を利用してかつおを水の中で浮かせながら、骨を抜いていきます。 これが静岡県焼津で行われている「水骨(みずぼね)」という方法です。他のかつお節の産地である枕崎では水を使用しないので、「おか骨」と言います。骨抜きは、かつおのエラの部分に残っている表皮を3分の1程度取り除き、次に腹についている大きな「7枚骨」といわれている骨を抜いていきます。 骨の形は体に沿った流線型をしていますので、ゆっくりと身の中から骨取りの道具を使って抜いていきます。次に身の内側にあります小骨を抜いていきます。小骨といえども傷がついてしまわないようにゆっくりと抜いていきます。 かつおの大きさによっては、この時に身を割って程良い大きさにする物もあります。
修繕(かつおの形を整える)|かつお節の製造方法
骨抜きの後に、手で触れた部分などの殺菌と水分を飛ばす目的でかつおを蒸します。 その後に放冷し、少し堅くなったら修繕を行います。修繕のことを別名「コソクリ」とも言いまして、傷や包丁で身を上手に卸せなかった部分を修復していきます。まず生切りで身を卸した時に身の余りなどを含めた中落ちの部分で、すり身を作ります。 すり身をお湯で茹でて、その後に生肉を2割~3割ほど混ぜて、機械で混ぜ込んでいきます。次にすり身をかつお節の傷や骨を抜いたところにすり込んで行きながら、型を整えていきます。 特に骨を抜いた所はもろい為に竹のへらの(ヘ)先で刷り込むようにしてすり身をいれます。 このような割れ目の部分から悪いカビが入り、味を落としたり、見た目が悪くなったりして、商品の価値を落とします。「修繕」は商品価値を落とさないようにする為の、先人達の知恵でもありました。 この後、薄い紙を貼り付け、再度蒸して殺菌を行います。 いよいよこのあたりから、かつお節らしい形が出来上がってきます。 かつお節は昔から特に形を重んじられ、その形の美しさが結婚式の贈答用にも求められてきました。
一番火 二番火 三番火(修繕したかつおを燻製)|かつお節の製造方法
修繕を行った後に、焙乾(ばいかん)という製造工程を行います。これは、「燻製」にする感じです。下から薪を燃して煙と熱をだしていきます。薪は「ナラ」「クヌギ」を使用します。 かつお節は、火を起こして熱風を下から当て、かつおの中の水分を時間をかけて抜いていきます。その時に煙も一緒に立ち上がり、煙が表面についてかつお節が黒くなっていきます。 火が強く高い温度ですと、かつおの身が急激な温度に耐えられずに、「火ぶくれ」と言われる火傷の状態が表面に発生します。かつおの一部分が膨らんでしまいまう状態になります。逆に火が弱いと生の部分が残ってしまい、場面によっては次の工程までに腐敗が進行する事もございます。 「ほど良い火加減」を作る為に、最初に薪を燃やして「オキ」を作り、結果的にはオキの温度で少しずつ水分を飛ばし、同時に煙を起こしてタールをかつお節の表面につけていく形になります。オキが出来上がった所で、修繕が終わったかつおを「せいろ」と呼ばれる籠に載せて、手火山の上に積んでいきます。 籠は8枚~10枚ほど積みますので、30分くらいしましたら、上の物と下の物と交換して満遍なく、煙と温度がいきわたるように致します。 もう一度30分待ちまして完成しますと、表面の色がキツネ色のまだ水分を多く含んだかつお節が出来上がります。この一番最初に火を与える事を「一番火」と言います。
「焙乾」工程一番火の後・・・二番火、三番火・・・ 一番火」が終わった後に放冷を致します。この時、かつお節の内部(中心部)には水分が溜まっており、外層表面に近い部分は、表皮が熱によって温められたので、水分が飛んでいます。 放冷を行う事によって、中心部付近の水分が外層部の方に寄っていきます。1日か2日経過した後、今度は二番火を6時間~8時間ほど行います。二番火を行う事によって、外層表面の水分がまた飛んでいき放冷をしてかつお節を休ませ、内部の水分を外層表面に持ってこさせます。 そして次に三番火・・・というように、どんどん繰り返し作業を行います。最終的には2.5kg以上のサイズの「荒本」と呼ばれるサイズの物で、13~15回ほど、一まわり小さい1.8kg以上の物や、「亀節」と呼ばれる小さな物で、12回~13回ほど繰り返されます。 この間、かつお節は乾燥していきますので、少しずつですが小さくなっていき、かつお節を載せている「セイロ」とよばれる皿には、かつお節が小さくなったぶんだけ隙間がでてきます。そこで今度は2枚のセイロからかつお節を1枚のセイロにまとめていきます。 セイロの中にかつお節を敷き詰めていく事によって、かつお節とかつお節の間から煙が逃げないように致します。
日乾カビ付|かつお節の製造方法
表面に付着したタールや、にじみでた脂肪分を手作業やグラインダーによって落とし、きれいな形に仕上げておきます。そして、削りの終わった節を1~2日間、戸外で日に当てます。これを「日乾」といいます。次にカビが発生しやすいようにした部屋に節を入れ、半月ほど放置しカビを発生させます。続いて1番目のカビの付いた節を日に干し、丁寧にブラシでカビを除きます。ここまでの工程、できあがった節を上枯節・青枯節といいます。さらにカビの発生しやすい部屋に戻し、2番目のカビが発生するのを待ちます。このカビを発生させ続いてそれを取り除く作業を通常さらに2回繰り返し4番目のカビまで発生させます。カビつけが終わると全行程が終了。本枯節の完成です。
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