煮干しダシ(出汁)の取り方

美味しい煮干しのダシ(出汁)の取り方を管理栄養士が説明

煮干しのダシ(出汁)は、イワシなど小魚が主な原料ですが、アジ、タイ、アゴ(トビウオ)などイワシ以外の魚種でも作られています。煮干しは、小魚が原料で非常に安価なイメージがありますが、魚種によって原材料費や加工方法も異なりは高価なものもあります。煮干しの製造方法は、単純に魚を煮てアクを取り除き干すことで作ることができます。かつお節みたいに、煮蒸、燻煙、カビを付けてなどの工程はなく非常にシンプルなのが特徴です。その為、素材も持ち味が発揮できるダシ(出汁)の1つだと言えます。煮干しは、かつお節とは異なり旨味が強いダシ(出汁)を取ることができます。その為、噌や醤油の成分と煮干しのうま味の成分の相性はとてもよく、お味噌汁、煮物、ラーメンのスープなどに使われる事が多いです。特に味噌汁は、具材が野菜との相性も良く、野菜や昆布の炊きあわせにも煮干しのダシ(出汁)はよく合います。魚をメインとする料理には、煮干しのダシは双方が主張し、魚同士の風味が混じることから使用しません。

煮干しダシ(出汁)の材料

煮干しダシ(出汁)の取り方

煮干しと水のみで取るダシ(出汁)
 1. 煮干し・・・・・30g
 2. 水・・・・・・・・1リットル
新鮮な煮干しを用意して、頭と内臓を取り除いたものを約30g用意します。煮干しの中骨のところで、身を半分に割るとダシ(出汁)が出やすくなります。時間のある時は、水に入れたまま半日から1日放置します。使用する際には、鍋に煮干しと水をうつし加熱をしますが、火力は、「強火」ではなく「中火」で加熱し、出てきたアクをこまめにすくいます。水だしの煮干しのダシ(出汁)は雑味が少なくすっきりした味になるのが特徴です。

煮干しと昆布で取る出汁
 1. 三星・・・・・30g
 2. 昆布・・・・・・・・・5g(水に対し0.5~1.0%程度)
 3. 水・・・・・・・・・・・800cc
「煮干しと水のみで取るダシ(出汁)」と作業手順は、ほぼ同じですが、煮干しと一緒に昆布を入れます。昆布は、長時間煮出すとえぐみが出る為、沸騰する直前で火を止めるようにしましょう。昆布のうま味も沸騰直前ではなく、60度前後で加熱する事で美味しい出汁(ダシ)を取ることができます。

煮干しダシ(出汁)の取り方

時間があるなら煮干しのダシ(出汁)は、水から取る事をお勧めします。しかし、毎日の味噌汁など時間が無い時は、水出しではなく、鍋に水と煮干しを入れ直接加熱します。ここでは、短時間で煮干しのダシ(出汁)を取る方法を説明したいと思います。

 手順  写真  説明
 1 煮干しは頭と内臓を手でつまみ取りましょう。頭と腹の部分は煮崩れしやすく、だしが濁ったり余分な味がでたりする原因になるため。ちょっと手間がかかりますが、美味しいダシ(出汁)を取ることができます。
 2 分量の水の中に昆布と煮干しを入れ火にかける。水800から1000ccに対して、頭と内臓を取り除いた煮干しを30g程度。煮干しだけではなく昆布も一緒に入れると風味豊かなダシ(出汁)を取ることができます。
 3 強火で加熱するのではなく、中火で加熱するのがポイント。煮干しや昆布のうま味成分は、沸騰する直前ではなく、60度前後で加熱した方が風味豊かなダシ(出汁)を取ることができます。加熱中、アクが出るので「おたま」ですくい取ります。
 4 あくを取り除きネル地で静かに漉す。
 5 煮干しのだしのでき上がり
※煮干しだしは一番だしや二番だしより薄色です。
 8   作った出汁は、その日のうちに使いきれない事もありますが、そんな場合には冷蔵庫に保管すると数日間は使用する事ができます。我が家では麦茶入れに残った出汁をいれていますが、年数回家族が麦茶と間違って出汁を飲む事件が起きています。

ひと手間加える事で風味豊かなダシ(出汁)を取ることができる

美味しい煮干しダシ(出汁)を取る為には、鮮度の良い魚で作られた煮干しと下ごしらえをしっかりすることで雑味の無い美味しい煮干しダシ(出汁)を取る事ができます。ポイントは次のとおり。

  • 新鮮な煮干しを用意しましょう。鮮度が落ちやすい魚で、煮干しになってからも酸化しやすいので、はじめによい煮干しの見分け方を紹介します。鮮度の良い煮干しを見極めるポイントは「色」です。新鮮なうちに加工されたものほどきれいな銀色ですが、全体が黄色っぽく変色しているものは酸化して品質が低下しているものが多いので避けるとよいです。また、腹が割れているものはゆでる段階で鮮度が悪かった可能性もあるので「おなか」を見てもよいと思います。

  • 頭とはらわたを取った煮干しは、できればフライパンで3~4分空炒りすると臭みが飛びます。ラップをせずレンジに1分くらいかけても同じような効果があります。
  • 煮干しの中骨のところで、身を半分に割くと出汁が出やすくなります。
  • 水に煮干しを入れ、半日置く。(夏場や暖かい部屋の場合は冷蔵庫の中で)時間が無い場合は、30分でもいいので水に漬けておく。煮出した煮干しの出汁は雑味が少なくすっきりした出汁になります。
  • 出てきたアクをこまめにすくい、アクがあまり出なくなったら火を止めます。
  • 水道水でも構わないが、できれば軟水などを使用すると、さらに風味が出る出汁が作る事ができると言われています。我が家でも出汁を取る水は、軟水を使用しています。

煮干しダシ(出汁)で美味しい味噌汁を

煮干しダシ(出汁)を使った最も身近な料理に「味噌汁」があります。味噌汁は、どの家庭でも主食、主菜、副菜と一緒に出されるかと思います。家庭によって使用する味噌の種類や具材が異なり、まさに「おふくろの味」と言っていいでしょう。近年、生活習慣病患者が増えており、味噌汁を毎日飲みたいが、塩分が気になる方も少なくありません。少し古いイギリスの研究結果ですが、1日の塩分摂取量が2~13gの人達には、塩分と高血圧に相関関係はみられず、むしろ、塩分摂取量が最も少ないグループは脳卒中や心筋梗塞になりやすく、最も摂取量が多いグループの脳卒中心筋梗塞になる確立が一番低いという結果となっている。高血圧の原因は、塩分の過剰摂取が原因だと言われていますが、何よりも、体をよく動かすことが重要であり、たくさん水分を摂取したうえで、尿や汗として塩分を排出するほうが血圧を下げるのに効果的だと言われています。また、体を動かすと血管拡張物質のタウリンが分泌され、血圧を下げる効果があると言われています。

味噌汁は、やかつお節や煮干しから取ったダシ(出汁)に豆腐やワカメさらには根菜類などの野菜を煮て味噌で味付けしたものです。最近では、出汁入り味噌や粉末(顆粒)タイプのダシ(出汁)の素を使用する家庭も多いです。ダシ(出汁)と非常に相性が良い味噌は、古くは室町時代の食卓にはあったと言われています。また、味噌は、戦国時代の保存食として重宝され、兵士の栄養源にもなっていた様です。仙台味噌など、戦国武将によって考えられたという説がある味噌が、各地に残っているようです。調味料としての味噌は、江戸時代には一般の家庭に普及しており、この頃からご飯と漬け物と味噌汁のセットが食事の基本スタイルになったそうです。味噌にはさまざまな種類があり、地域によって大まかに赤味噌、白味噌、合わせ味噌などと区別されています。味噌の材料は、大豆や米などの穀類と、米や麦、豆などを使った麹と、塩です。大豆の茹で加減や麹の種類、熟成期間の違いで味噌の色が違ってきます。基本的に、赤味噌は長期熟成、白味噌は短期熟成で、この中間が淡色味噌となっているようです。赤味噌のほうが塩分濃度が高くて塩辛くコクがあり、白味噌は塩分濃度は低く、甘みがあります。麹の種類の違いで、米味噌、麦味噌、豆味噌があり、全国的に普及しているのは米味噌です。麦味噌は主に九州地方で作られ、豆味噌は東海地方で多く作られています。味噌は、もともと栄養たっぷりの大豆を麹を使って発酵させることにより、もとの大豆以上の豊富な栄養を作り出しています。味噌にはたんぱく質が豊富に含まれています。発酵の過程でたんぱく質が分解され、アミノ酸になります。そのなかには、身体にとって必要な必須アミノ酸8種類が全て含まれているそうです。その他にも、ビタミンB1ビタミンB2ビタミンB6ビタミンB12ビタミンEビタミンK葉酸ニコチン酸ナトリウム(Na)カリウム
(K)
マグネシウムリン亜鉛ヨウ素クロムモリブデンセレン食物繊維脂質など、非常に多くの栄養素が含まれています。

煮干しダシ(出汁)を使った「具だくさん味噌汁」をお勧めします。具として入る豆腐などは、たんぱく質が多く含まれており、神経伝達物質の材料にもつかわれ、認知症予防に欠かせない栄養素です。野菜や海藻類は、ビタミンミネラル抗酸化物質食物繊維の供給源。とくに抗酸化物質は、活性化酸素を無毒化させるために重要です。抗酸化物質を毎日しっかりとることで様々な疾患を予防することが期待できます。具だくさんの味噌汁は、1杯で100g程度の野菜が具としてとれるだけでなく溶け出した栄養素も余すことなく摂取できるのです。減塩効果と豊富な具材で、認知症の発症リスクを上げる高血圧やメタボリックシンドロームの対策も期待できます。

煮干しダシ(出汁)の歴史、種類、栄養 リンク集

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