一番出汁’(ダシ)

一番ダシを美味しく取る方法を管理栄養士が説明

日本料理は、旬の食材を取り入れた一汁三菜を基本にした普段の食生活から生まれた食生活が、仏教における精進料理や茶道における懐石料理などの作法や手法によって磨かれてきたものです。こうして磨き上げられた料理手法の中でも真髄といえるのがダシの取り方です。ダシはお吸い物や煮物など、日本料理における基本の味となっています。江戸年間の寛永20年(1643年)に出版された「料理秘伝抄」の第八の巻「ダシ酒の事・かつうをに塩少し入れ しんしゆにて 一泡 二泡ふかせたるをいふ也」とあり、江戸時代の初期には出汁がすでにあったことがわかります。昆布と鰹節で最初に取る一番ダシは、濁りのない上品な琥珀色が特徴。吸い物、みそ汁、茶碗蒸し、そばつゆ、うどんつゆなどにぴったりです。一番ダシは、昆布と鰹節で取る事から色々あるダシの中でも中心的な存在と言えるでしょう。一番ダシのダシ殻の昆布と鰹節を再度使って取れるダシを二番出汁といいます。一番ダシは香り高いのに対して、二番出汁は旨味が強いのが特徴です。ですので、煮物など醤油や味噌で味付けする煮物などに使います。一番ダシと二番ダシでは、特徴が違います。ですので、全ての料理に一番ダシが良いのではなく、調理方法に合わせて使える様にしましょう。

一番ダシ材料の選び方

一番出汁(出汁)
ヘルシーだと言われ、世界中から絶賛されている和食。その理由はバターなど油脂類を使わなくても十分に満足出来る料理を提供できる点にある。それの理由はダシにうま味の存在が非常に大きい。出汁の成分である旨味(UMAMI)は今や世界共通語。そんな和食の原点とも言える出汁は関東と関西で取る出汁の種類が違う事が有名です。鰹出汁と昆布出汁には一番出汁と二番出汁がある。そもそも一番出汁はまず、昆布を水から煮出し、沸騰前に取り出す。そして、煮立ってきたら鰹節を投入し、火を止めて30秒程でこすと完成。雑味がなく、上質で澄み切っている。一方、二番出汁は一番出汁を使った昆布、鰹節を使用。強火で沸騰してからも煮出し、十分に旨味を引き出したら完成。二番出汁は旨味と香りの強さが特徴です。ここでは、一番ダシについて説明したいと思います。

昆布の選び方肉厚で幅広く、つやのあるものが良い。色はアメ色で、よく乾燥しているかどうかを目安にする。鰹節の選び方通常、すでに削られたものを購入することになるが、なるべくその日に削られたものを使用するとより風味のあるおいしいダシが取れる。一度に大量に購入するのではなくせいぜい1週間程度で使い切れる分量が良い。。

 1. 昆布・・・・20g(水に対して1.0%程度)
 2. 鰹節・・・・40g(水に対し2.0%程度)
 3. 水・・・・・・2リットル

※水は、一番出汁同様に水道水でも構わないが、できれば軟水などを使用すると、さらに風味が出る出汁が作る事ができると言われています。我が家でも出汁を取る水は、軟水を使用しています。

一番ダシの取り方 ワンポイント・アドバイス

昆布は洗わず使用しましょう。汚れがあったり心配な方は、乾燥したフキンで軽く表面を拭きましょう。表面に付着している白い粉状なものは、汚れではなく、これこそが旨味成分です。鍋に水を入れ一晩から丸一日冷蔵庫に置き、弱火にかけてお鍋の底に泡が出来てきてきたら昆布を取り出す。時間がない時は水から火をかけ沸騰前に取り出しましょう。昆布は沸騰させるとヌメリなどが落ちダシの風味が低下する原因になります。

 手順  写真  説明文
 1 出汁(ダシ)の取り方1 昆布を拭く 昆布の表面を固く絞ったぬれ布巾でさっとふく。間違っても水道でじゃぶじゃぶ洗うようなことは、旨味が逃げてしまうので絶対にしてはいけない。昆布の表面にふいたような白い粉は、旨味成分が結晶したものなので気にしなくてよい。砂や汚れを落とすつもりでさっと吹く。
 2 出汁(ダシ)の取り方2 鍋に入れる 分量の水の中に昆布を入れる。今回は、軟水を二リットル鍋にいれてあります。
 3 出汁(ダシ)の取り方3 水から加熱する 約10分間で沸騰する位の火加減に調節する。数分で沸騰する位の火加減だと昆布の旨味が十分でないし逆に火加減が弱過ぎて沸騰するまでに時間がかかり過ぎると昆布のぬまりや色など余分なものが出てしまうので注意する。
 4 出汁(ダシ)の取り方4 昆布を取る 沸騰直前になったら箸で昆布をつまみ上げ、身の厚いところに爪が立つかどうか確認する。爪が立つようであれば昆布の旨味は出ているものと判断し引き上げる。もし、まだ昆布が固いようであるなら少量の水をさして沸騰を遅らせ更に時間をかける。
 5 出汁(ダシ)の取り方5 水を入れ温度を下げる 沸騰したら少量のさし水をし沸騰を抑える。
 6 出汁(ダシ)の取り方6 鰹節を入れる 沸騰がおさまれば分量の鰹節を一気に加える。
 7 出汁(ダシ)の取り方7 沸騰したら火を止める  一煮立ちしたらすぐに火を止め、あくを丁寧に取り除く。
 8 出汁(ダシ)の取り方8 鰹節を濾す  鰹節が沈み始めたら、ネル地で静かに漉す
 9  出汁(ダシ)の完成 一番ダシのでき上がり
 10   作った出汁は、その日のうちに使いきれない事もありますが、そんな場合には冷蔵庫に保管すると数日間は使用する事ができます。我が家では麦茶入れに残った出汁をいれていますが、年数回家族が麦茶と間違って出汁を飲む事件が起きています。

関東はかつおダシ、関西は昆布ダシが主流

古くから関西は「昆布ダシ」、関東は「鰹ダシ」とわかれる。これは、うどんと蕎麦の汁を思い浮かべてみれば分かるだろう。違いは色だけではなく、関西風のうどんは昆布ベースの「ダシ」に薄口醤油、塩少々、関東風の蕎麦は鰹の削り節ベースの「ダシ」に濃口醤油、みりん、砂糖で作った「かえし」で作られる。なぜ関西と関東で違う「ダシ」を使うようになってしまったのだろうか。その理由は諸説ある。

昆布は17世紀後半、当時は蝦夷と呼ばれていた北海道から、北前船によって日本海側の港を経由して大阪に運ばれ始めた。それがさらに、東へと航路が伸び、江戸にも運ばれるようになったのだが、まず大阪で上質な昆布から売れていき、売れ残ったものが江戸で消費されたため、関東では関西ほど「昆布ダシ」が発達しなかった。

関西の硬度が低い「軟水」は昆布の旨味を引き出すのに適しているが、炭酸カルシウムを含有する関東ローム層の影響で硬度が高い関東の「硬水」は、昆布にむいていない。そのかわり、鰹の削り節の「ダシ」と濃口醤油が主流になった。現在は水道局が水質を管理しているので、水道水の硬さは地方によって、それほど大差はなくなっているらしい。

昆布から「ダシ」をとるためには、水から鍋に火をかけ、沸騰しないように気を配りながら、じっくり時間をかけなければいけない。それに対して、鰹の削り節は沸騰した鍋の湯で煮立てれば、サッと「ダシ」をとることができる。つまり、「昆布ダシ」をとるのは短気な性格の人間には苦痛なので、せっかちな江戸っ子の気質に合わなかった。ちなみに、江戸時代の蕎麦通といわれる、日新舎友蕎子(にっしんしゃゆうきょうし)が寛延4年(1751)に著した「蕎麦全書」に『近頃の蕎麦屋は「ダシ」に鰹を使うところが多くて嘆かわしい』とあるので(元々は煮詰めた酒と醤油と混ぜたのや、水で溶いた味噌を使っていた)、江戸でつゆに「鰹ダシ」を使うのが一般的になったのは18世紀中頃だと思われる。

美味しいダシの取り方